アニメで町おこし
まんたんプレス:急増「アニメ、マンガで町おこし」 ご当地キャラで中央へ情報発信
<サブカルチャーの最前線>
アニメ、マンガ、ゲームなどのサブカルチャーを紹介する「まんたんプレス」。今回の注目は、最近急増するアニメやマンガのキャラクターを使った「町おこし」だ。【河村成浩】
アニメで町おこしの火付け役は、昨年4~9月にUHF系で放送されたアニメ「らき☆すた」の舞台となった埼玉県鷲宮町や春日部市だ。オタクの高 校生の日常をコミカルに描いた4コママンガをアニメ化した作品で、舞台となる高校の最寄り駅が「糟日部駅」、主要キャラクターの実家が「鷹宮神社」として 登場する。深夜放送のアニメにもかかわらず、インターネットの口コミなどで人気が広がり、出演声優が歌う主題歌などが売り上げランキング上位を獲得する大 ヒットとなった。
アニメ専門誌が同年夏に作品に登場する場所を紹介するガイドを掲載すると、ファンが詰めかけた。「鷹宮神社」の元となった鷲宮神社には、キャラ クターの絵を描いた絵馬で埋め尽くされ、メディアにも注目された。同年末に出演声優を招き、「公式参拝」と題して開かれたイベントにも約3500人が参 加。08年の初もうでの参拝者は例年の3倍となる30万人に達した。
埼玉県観光振興室の荒井康博室長は「埼玉には、富士山や厳島神社のようなシンボリックな観光スポットがない。それを克服する一つとして、アニメ で差別化を図ろうとした。シンクタンクの調査によると特定の趣味を持つ人が1~2%いるというが、首都圏4000万人の2%でもすごい数になる」と説明。 「埼玉ちょ~でぃーぷな観光協会」というサイトを開設し、「鉄腕アトム」が名誉市民になっている新座市や、「クレヨンしんちゃん」の一家が住民登録をして いる春日部市、「仮面ライダー」などの特撮ドラマのロケ地の情報などを掲載し、盛り上げている。
伊達政宗などの戦国武将が、かっこいいキャラクターとして登場し、女性に大人気のゲーム「戦国BASARA2 英雄外伝」に主役級で登場する武 将・片倉小十郎景綱が実際に治めていた宮城県白石市では、昨年末から若い女性の観光客が急増。売店の売り上げが前年の50%増という。同市企画情報課では 「ゲームで景綱を知り、そこから史実を調べるうちに魅力を感じて市を訪れてくれているようです」という。市では、4月から景綱のイラストを描いた市民バス を運行している。京都では、歴史創作をテーマにしたイベント「太秦戦国祭り」が開かれ、やはりゲームに登場するような派手な戦国武将になりきったコスプ レーヤーが多数参加して盛り上がっている。
また、秋田県羽後町では、イラストレーターの西又葵さんが描いた美少女キャラクターのパッケージをデザインした「あきたこまち」を9月から発 売、例年の7倍以上の注文が入り、受け付けを一時中止した。11月には広島が舞台のマンガ「君のいる町」のイラスト入り「もみじまんじゅう」が2カ月の期 間限定で販売され、大人気という。特産品のパッケージに、土地にちなんだキャラクターや地元出身の作家の作品を活用するケースも増えている。
そんな中、夏と秋の年2回開催され、毎回50万人の来場者を記録する世界でも最大級のマンガ即売イベント「コミックマーケット」では、5年に1 度開くスペシャルイベントとして、2010年3月21日に開催予定の「コミケットスペシャル」のテーマを「コミケでまちおこし」に決定。自治体や各地の観 光協会などに呼びかけたが、既に20を超える自治体から問い合わせが来ているという。
サブカルチャーにも詳しい経済評論家の森永卓郎さんは「埼玉県と『らき☆すた』のように、自治体と作品がセットになった形が各地で確立し、その 土地の特色となりつつある。地方を代表するキャラクターがあれば、地域振興だけでなく地方から中央への情報発信もしやすくなる」と評価する。「ご当地キャ ラ」を使った町おこしは、ますます注目を集めそうだ。
毎日新聞 2008年11月14日 東京夕刊
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